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長く美しく照らし続ける伝統の明かり
漆の実から作られる乳白色の蝋燭に、梅や牡丹など色鮮やかな草花の絵が描かれた会津絵蝋燭は、伝統産業である漆器の発展とともに隆盛してきました。今では漆が少なくなってきたためハゼロウを使っていますが、和紙にい草を巻いた芯に、何度もロウをくぐらせて太くしていくという根気のいる製法は昔のままです。手作業で堅牢に固められた絵蝋燭は、絵の美しさもさることながら、明かりを灯してもその質の良さを証明してくれます。
AIZU EROUSOKU
工房紹介
- 小澤ろうそく店
TEL 0242-27-0652
〒965-0877
会津若松市西栄町6-27
会津絵蝋燭の歴史
会津絵蝋燭は、約500年前芦名盛信公が、領内の農民に漆樹の栽培を奨励したことに始まります。漆の樹液からは漆器が、実からは蝋燭が作り出されました。その後、蒲生氏郷公の時代になると、仏教信仰の盛んであったことから仏に花を供える意味で、また長い冬の生活にうるおいを持たせる手仕事として蝋燭に花の絵が描かれるようになりました。美しい絵という付加価値がついた絵蝋燭は、やがて会津の産業を支える重要な特産品の一つとなっていきます。
江戸時代に入り、会津藩主・松平の名宰相と謳われた田中玄宰の時代に産業としての基盤が整い、絵蝋燭は発展しました。華やかで美しい絵が描かれた会津絵蝋燭は一つのブランド。当時は権力者への献上や寺社への奉納などの高級贈答品として用いられました。
明治以降、時代の移り変わりとともに、照明としての用途は少なくなってきましたが、伝統を守る人々によって、会津絵蝋燭は変わらない美しい明かりを灯し続けています。
職人の技を知る
現在、会津若松市内では3軒の店が絵蝋燭の伝統を守っています。その中の一つ、小澤ろうそく店では、昔ながらの製法にこだわり、原材料を吟味しながら絵蝋燭を作り続けてきました。「今は漆の代わりにハゼロウを使っているけど、このハゼですら作る人が少なくなってきているんだ。今後も良質の素材を手に入れられるかどうかが心配だよ」と店主の小澤徹二さんは顔を曇らせます。ロウの他、灯心に使うい草や和紙も以前より良い物を調達するのが年々難しくなっているとか。それでも今ある材料で最高のものをと蝋燭を作る手に力がこもります。
絵付けした蝋燭は再びロウに浸し、光沢を出していきます。製品の善し悪しの決め手なるこの上がけと呼ばれる作業が一番神経を使うのだそうです。「浸す時間はもちろんのこと、室温とロウの温度によって艶加減が全く異なる。こればっかりは職人の勘だね」。小澤さんの神経が蝋燭に集中し、作業場の空気がピンッと張り詰める瞬間です。
若かった頃は「燃やして形がなくなる蝋燭にどうしてこんなに手間をかけるんだろうと疑問に思ったこともある」という小澤さん。「でも今のお客さんは燃やさないで飾っておくでしょ? 蝋燭が残るのはうれしくもあるけど逆に怖くもある。いつまでも残るものだからいいものだけを作りたい」と表情を引き締めていました。
