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やまふくの人々

福島県在住山岳ガイド
奥田 博さん

バリエーションゆたかな福島の山は、どんな好みも受け入れる

写真:奥田博さん

福島県は大きく3つの地域に分けられます。海側の「浜通り」、西側の「会津」、そのあいだの「中通り」です。この3つは天気予報でも区分されるように、気候風土がまったく違うんです。それがおもしろいですね。冬に会津の方で雪が降っていても、車で浜通りへ向かうと、どんどん天気が良くなって雲ひとつない青空、なんてことも多いんですよ。

画像:福島県の3つのエリアと代表的な山域や山、エリアごとの気候風土を表現したイラストマップ
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画像:福島県の3つのエリアと代表的な山域や山、エリアごとの気候風土を表現したイラストマップ

と、なると、山の特徴もまったく違うわけで、日本海型気候の「会津地域」は雪が多いので四季のメリハリがあり、自然がゆたかです。雪で削られた雪食地形になっていて、比較的標高が高い山が多く、上級者向けの山が多い。“会津のマッターホルン”と呼ばれる蒲生岳は、1000m足らずの標高ですが急峻で、雪食地形の代表といえます。
また、会津駒ケ岳や会津朝日岳のあたりには広大なブナの森が多く残されているのも特徴です。


トンガリ姿の蒲生岳は雪食地形の代表

小野岳で出会えるブナの森

一方、「中通り地域」は奥羽山脈の2000mクラスの山が南北に連なるエリア。中級者向けの山が多い。吾妻連峰、安達太良連峰とあって、郡山のあたりで少し下がって1000m前後の山が続き、那須連峰となります。登山に手頃な山々といった感じでしょうか。
吾妻、安達太良、那須はすべて火山群なので温泉が豊富なのも特徴。安達太良山なんてすべての登山口が温泉地になっているんですよ。
また、東北の山というと紅葉をイメージしますが、モミジ類、ブナ、ミズナラなどの広葉樹が多い会津や奥羽山脈はとくに見事で、息をのむ美しさとなります。


大自然のパワーを感じる安達太良山の沼ノ平火口

「浜通り地域」はというと、阿武隈山地がひろがり、1000m峰が3座しかない穏やかな山の連なりです。太平洋型気候で雪がほとんど降らないため、冬にも歩くことができ、ひだまりハイクが気持ちよいですね。
それと、人くさい、というか、人との関わりを感じる山が多い。山頂に祠があったり、いろいろな伝説が残っていたり、山に牧場があったり、と。低山好きにもってこいのエリアです。


福島の登山道脇には石仏が佇むことも

奥田 博(おくたひろし)さん

福島在住の登山ガイド。福島だけでなく東北の山々を中心に夏は沢、冬は山スキー、春と秋はハイキングと自然観察、下山後の温泉を楽しみ、マイナーな山や藪山のガイドを得意とする。「ふくしまの山50」(歴史春秋社)、「福島県の山」(山と渓谷社)「うつくしま百名山」(福島テレビ)など著作は30冊以上。日本山岳ガイド協会認定ガイド。東北山岳写真家集団所属。
当webサイトの「山の案内人ブログ」も執筆中。

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