
先日来館されたお客様から「ある明治人の記録 会津人柴五郎の遺書」という本をお薦めいただきました。この本は、戊辰戦争で会津若松城が落城したとき10歳で、のちに陸軍大将になった柴五郎が、その当時の記憶を遺書として書き留めていたものを、筆者が書きうつしたもの。
この本の中で、戊辰戦争時や斗南に移住後の悲惨な体験、上京後の苦労した話などがつづられており、戊辰戦争で敗者となった会津藩の士族たちがどのような運命をたどったかを知ることができます。
さて、当館の展示に、飯沼関弥集録書簡集『山高水長』という書簡集があり、その中に、柴五郎が松平家の家令だった飯沼関弥に充てて書いた手紙があります。
内容としては「書籍を買った代金を送ります」というものですが、この手紙が書かれたのは、大正8年。柴五郎が陸軍大将になった年で、前年からこの年にかけて東伏見宮依仁親王に随行してイギリスに赴いています。
そんな時代背景がわかると、これらの書簡類が貴重なものだということもおわかりいただけるかと思います。
なお、書簡の近くには関係する人物の紹介パネルもあり、維新後に生きた会津の偉人について知ることができます。
会津が輩出した偉人の書簡は、当館初公開のもの。ぜひご覧ください。
<書籍情報>
ある明治人の記録 会津人柴五郎の遺書
石光真人編著
中公新書 252
価格/693円
その他/初版は昭和46年。当館歴史ショップでの取り扱いはございませんが、白河市図書館で借りることができます。