
初午(立春の頃)の夜、
吹雪に乗って山から子どもをさらいに降りてくるのが
ヤサブロバッパという鬼。
バッパ。というから女なのでしょう。
「夜更ししている子供はいないか。
親の言うことを聞かない子供は、
山ささらっていくぞぉ~」
などと言いながら、
猛吹雪に乗って村に降りてくる。
親がそれぞれ都合に合わせて
「宿題やらない子はいないかぁ」
などと付け加えてることもある。
見た人はいないというが
あのゴォーッ、ヒユーッとかグオォーとかいう
吹雪の音が、そう聞こえる。
と母親は言う。
それで子供のいる家では
軒下に
スイノウなどの目の粗いざるをぶらさげる。
これを見たヤサブロバッパは
ギョッとするらしい
自分より強い鬼が先回りして
目を光らせている。
と勘違いをして、
その家はあきらめる。
背中をぞくぞくさせながら、聞き入っていた子供の頃が
くっきりと甦る。
布団にもぐりこんでじっとしていたあの時間
ビューッと吹雪く音が耳から離れなくて
寝付けなくて、怖かったなぁ!!
「弥三郎母」と漢字にする書き物もあるが、
いまいちゾクゾク感がない。
今日2月8日がその日なのだが
親の都合で、ひと冬に何回も降りてくる
あぁ
今夜も吹雪に乗ってヤサブロバッパが降りてくる・・・
