ピッチが歴史を刻む

ピッチを通して被災から復旧までの道筋が見える

11.5面に及ぶフィールドはサッカーをはじめとするスポーツ大会やトレーニングに使われています。今は芝生の緑が眩しいピッチですが、震災後、施設は完全閉鎖。復旧までは長い道程でした。

J-VILLAGE

復興のシンボルとしてのサッカーの聖地

ピッチに足を踏み入れると、芝の目の詰み方と成長の勢いが違うのがわかります。サッカーの日本代表が使い、ファンから“神の宿るピッチ”と呼ばれるJ-VILLAGEが誇る天然芝のNo.3〜5のピッチ3面。以前は日本代表選手しか使えませんでしたが、現在は小学生から使え、サッカーファンにとって憧れのピッチです。夏芝と冬芝を入れ替える徹底した芝生管理で、一年中鮮やかな緑が広がります。 その他に、陸上競技のできる人工芝のフィールドトラック、イベント使用も可能な全天候型練習場のフィールド、屋根のある雨天練習場、アリーナ(体育館)、スタジアム、さらにフィットネスジム、ホテル、レストランなど。計11.5面のフィールドを備え、大会から合宿まで誰もが使用できる一大スポーツ拠点なのです。

建築デザインが個性的な全天候型練習場のフィールドはイベントなどでも使われる。

災害当時の記憶が眠る“神の宿るピッチ”

2011年3月11日、東北地方を襲った地震はJ-VILLAGEにも損害を与えます。建物の被害は軽微だったものの、フィールドにはクラックが走り、周辺の道路も陥没。さらに追い討ちをかける原発事故で施設は使用不能に。その後、原発事故に対応するため“神の宿るピッチ”は国の管理となり、全国から集った作業員たちの駐車場として使われ、J-VILLAGEは事故対応・除染の中継点としての役割を担うことになりました。営業再開は2019年。除染のためピッチの土を40センチの深さまですべて剥がし、新しい土に入れ替えるという大変な作業の末に復旧したのです。 そしてJ-VILLAGE は、2021年3月25日には、東京五輪の聖火リレーにおいて、グランドスタートの地となったことでも知られています。

小湊 亜希 J-VILLAGE経営企画部・企画広報担当

ピッチの芝生の管理はプロにお願いしていますが、施設が広いので管理は大変です。芝刈りとライン引きは今はロボットがやってくれます。冬は雪が少なくて温暖、夏も比較的スポーツに適した立地で、1997年にサッカーのナショナルトレーニングセンターとしてここが開設されたのもそういう理由です。是非多くの人に訪れていただき、ピッチの芝生の気持ちよさを感じてほしいですね。