再起に懸ける不屈の思いが撚り合わさって誕生
町の復興への取り組みと企業とのマッチングの在りかたを学ぶ
浅野撚糸株式会社は、1969年に世界初の撚糸工場として岐阜県で設立されました。2019年に福島県双葉町と立地協定を締結し、2023年4月に大規模撚糸工場「フタバスーパーゼロミル」を稼働させました。
フタバスーパーゼロミル
優良企業の発展がまちに活気を呼び込む
1967年創業の岐阜の撚糸会社が、なぜ双葉町に新しい工場を建てたのか。そこには、社長である浅野雅己さんが福島大学出身であるということ以上に、双葉町の再起に懸ける思いへの共感があります。古くは長良川の水害によって、近代では中国の撚糸会社の台頭によって倒産寸前の苦境に立たされたこともある浅野撚糸。 空気を最大限に取り入れ糸を撚り合わせる「SUPER ZERO」という最先端素材の開発によって盛り返した現在は、不屈の努力の賜物です。 双葉町もまた、町民ゼロの状態からなお復興を諦めない不屈の闘志を抱くまち。ふたつの異なる糸が撚り合わさって新たな繊維が生まれたように、浅野撚糸と双葉町もまた、一体となって新たなまちづくりへの取り組みを始めたのです。
館内のカフェでは、福島県産のしらすや桃を使ったオリジナルメニューも楽しめる
魅力的な職場と雇用の創出をテーマのひとつに
「わたしが入社した2022年4月の段階で、双葉町はまだ全町避難指示が続いていました。町民のいない町で新たな工場を稼働させる。その貴重なマンパワーを自分が担うということへの期待とプレッシャーはとても大きかったです。 その年の10月に視察で双葉町を訪れたのですが、津波と原発事故の二重の被害を被った町の現実を目の当たりにし、胸がつぶれるような思いでした。それと同時に、自分もこのまちを作っていく当事者なんだ、という覚悟のようなものもできたと思います。 いま、双葉町は復興拠点の避難指示も解除され、駅の西側には公営住宅の整備も進んでいます。年ごとに、町民も増えるでしょう。町に帰還してくる方たちや、新たに住み始める方たちが希望を持って働ける場として、フタバスーパーゼロミルが選ばれたら嬉しい。 もっと言えば、フタバスーパーゼロミルがあることで、魅力的な居住地の選択肢のひとつになったらいいな、と思っています(子安結愛華さん)」 子安結愛華さんのアテンドで見学するフタバスーパーゼロミル。その見学路は、企業とまちとが盟友となってつくりだす未来へと繋がっています。
浅野撚糸株式会社 双葉事業所 リーダー 子安結愛華さん
岐阜県海津明誠高校卒業後、浅野撚糸株式会社に入社。2023年3月より双葉事務所へ。「カフェやホール、中庭を使ったイベントやワークショップを開いて、人が集える場所づくりがしたい。そうした“やってみたい”にチャレンジさせてくれる会社なので、わたしたちも意見を言いやすいですね」