INTERVIEW インタビュー

会津

磐梯酒造 代表取締役 桑原 大さん

「和醸良酒」を胸に、夢を語り心ゆくまで酌み交わせる日本酒を。

地元磐梯町に根差した酒造りをされている磐梯酒造さんのこだわりは?

 一番こだわっているのは原料です。当蔵では地元の契約農家さんで生産された酒造好適米を原料米に使っています。それから酒の味を左右する水。磐梯町にはきれいで酒づくりにぴったりなおいしい「磐梯西山麗湧水群」の伏流水があり、それを仕込み水として使用しています。水がいい土地には必ずといっていいほどおいしい米があります。だから会津地方にはいいお酒が星の数ほどあるわけです。
 酒づくりは良質の米と水のほか、麹づくりや酒母づくりも大切で、この工程で味の方向性も決まります。それをしっかり定めるのが杜氏の役目になります。

桑原代表は杜氏でもいらっしゃいますよね。

 そうですね。昔は杜氏というと、農山漁村の人が冬場の農閑期・漁閑期に各地の蔵元へ出稼ぎで酒づくりに来ていた、いわば出稼ぎでした。「南部杜氏」「越後杜氏」「丹波杜氏」などが有名ですが、今では蔵元に常にいるようになり、近年、福島では県酒造組合が運営する「県清酒アカデミー職業能力開発校」の卒業生たちが中心となる「会津杜氏」と呼ばれる杜氏たちが、それぞれの蔵元で独自のおいしさを求めて日々励んでいます。私もその一人です。

杜氏として、どんな酒づくりをされていますか?

 当蔵では大きな蔵元と違い、ほぼ手作業。昔ながらの製法で酒づくりをしています。例えば醪(もろみ)を絞るのも「佐瀬式」と呼ばれる槽を使い、二日間かけてゆっくり丁寧に絞っていきます。時間をかけることで醪の中の旨味成分だけを抽出し、苦味や辛味成分を酒粕に残すことができます。酒粕を完全に絞り切らないので、製成される清酒の量は減りますが、その分おいしいお酒になります。機械化は最小限に抑えできる限り手作業にすることで、蔵人の知恵や伝統の手法を守っています。
 日本酒の消費が落ちていると言われていますが、一方で、年代も性別も関係なく質のいいお酒を求める人は多くなっています。明治23年の創業以来「夢を語りながら酌み交わせる日本酒」を目指していて、これからも変わることなく酒づくりに取り組んでいきたいと思います。