国指定重要文化財

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福島県迎賓館について

皇族ご静養のために建設された伝統的離れ和風住宅の歴史と見どころ

旧高松宮翁島別邸(福島県迎賓館:以下、迎賓館)は、大正11(1922)年、大正天皇第三皇子・高松宮宣仁親王殿下が、有栖川宮威仁親王妃慰子殿下の御保養のために建設されました。当時の趣きを今に伝える建物外観は、落ち着いた控えめな印象ですが、中に入ると妃殿下にふさわしい格式と様式を重んじた極上の日本建築による住空間となっています。

歴史

慰子妃殿下は、高松宮宜仁親王妃喜久子殿下の母方祖母にあたります。すでに天鏡閣(明治41年建設)がありましたが、高松宮宣仁親王殿下は御還暦前の慰子妃殿下を気遣われ、御保養のために一年余りの歳月をかけて伝統的和風住宅を完成させました。
慰子妃殿下は大正11年の夏、完成した別邸で避暑期間を御静養されましたが翌年6月29日、60歳で薨去(こうきょ)※なされました。伏見宮家・閑院宮家・八条宮から京極宮を経たのちに桂宮を称した宮家と並ぶ、四親王家の名門・有栖川宮家は、江戸時代初期に創設されたその歴史に幕を閉じました。

その後、旧高松宮翁島別邸は昭和27(1952)年12月、高松宮殿下より福島県に御下賜されました。以来、天鏡閣と共に離れの日本間「福島県迎賓館」として、昭和天皇・上皇陛下をはじめ多くの皇族を迎え入れ、皇室歴史に深く関わり現在に至ります。
平成11(1999)年5月13日、国の重要文化財に指定され、令和4(2022)年に築100年を迎えました。

皇族・三位以上の人が亡くなること。

外観

自然石を基礎に使い、周囲の景観と地形を庭園に見立てた純日本風のたたずまいを有する福島県迎賓館は、全国的にも珍しい遺構です。木造平屋建て別邸の外観は、落ち着いた控えめな印象です。当初の屋根は薄い板を重ねた杮葺(こけらぶき)でした。現在は、銅板葺きです。
福島県では保存・保護を図りながら庭園を公開しているほか、その価値と魅力を広く伝えるため迎賓館の館内を期日限定で特別公開しています。

庭園

常緑樹や広葉樹が生い茂る健やかな自然林を生かした庭園は、5/1~10/31まで開放しております。5~6月はヒメシャガの群生、続いてアジサイ、夏はヤマユリと木々の濃い緑、秋は広葉樹の赤や黄色の見事な紅葉に包まれます。庭園と上層貴族・武士住宅の姿を今に伝える建物が、一幅の絵画のような美しい眺めとして調和している様をご堪能ください。

南端に建つ東屋まで足を延ばせば、湖面に天を映す猪苗代湖も望めます。

天鏡閣