> ニュース&トピックス > 2021.10.25(月) 12:00 【災害大国を生き抜く】 誰ひとり犠牲にならなかった小学校で「生きる力」を学んでみませんか

ニュース&トピックス

2021.10.25(月) 12:00 その他【災害大国を生き抜く】 誰ひとり犠牲にならなかった小学校で「生きる力」を学んでみませんか

校舎外観

1階 1年生教室前

1階 職員室

2階廊下(展示エリア)

 2021年10月24日、福島県初の震災遺構「浪江町立請戸(うけど)小学校」が一般公開されました。東日本大震災により被災した校舎は、なるべく被災当時のまま保存・整備され、災害の脅威を肌で感じる施設となっています。震災の悲惨さやその教訓、そして防災について、ぜひお越しになって学んでみてはいかがでしょうか。
 この記事では、どうして請戸小学校が震災遺構として残されたのか、その理由をご紹介します。

■震災遺構とは、その悲惨さを一目見てわかるもの

 震災遺構とは、大規模な地震・津波などの震災によって倒壊した建物等を、その震災の被害の大きさ、悲惨さ、教訓を後世へ伝えるために保存したものです。完全な形での現地保存のほか、移設保存、部分保存、また解体して写真などデジタル映像で残すことも震災遺構に含まれます。

■今も9割以上の町民が避難生活を送る「浪江町(なみえまち)」

 請戸小学校がある浪江町請戸地区は福島県沿岸部のほぼ中央に位置し、沖合で親潮と黒潮がぶつかることから小魚やプランクトンが豊富で、震災前は県内でも特に漁業が盛んな地域でした。本町の請戸漁港が2020年4月に震災から約9年ぶりに再開し、競りがおこなわれるなど今後の水揚げに期待が寄せられています。
 海と共に生きてきた浪江町ですが、2011年3月11日は東日本大震災の震度6強の揺れと15メートルを超える大津波により、全壊家屋が651戸、死者・行方不明者182名の大きな被害を受けました。中でも請戸地区は、津波による死者・行方不明者が154名と多くの犠牲者が出た地域です。また、併せて発生した原子力災害により全町避難を余儀なくされ、震災から10年半以上が経過した現在でも町の大部分が帰還困難区域に指定されており、町民の9割以上が避難生活を送っています。

■あの日「請戸小学校」に起こったこと

 2階建ての請戸小学校は海岸から約300メートルに位置しており、津波が2階の床面まで浸水、1階部分は天井や壁がはがれ、机など備品のほとんどが流されました。被災直後に全町避難となったことで、校舎には当時の津波の傷跡が色濃く残り、また津波により窓が消失したことで雨風による経年劣化も見られ、原子力災害による10年半の年月が刻まれています。
 震災当時は、下校した1年生を除く2年生から6年生の82名と教職員13名が校舎に残っていました。地震発生後校庭へ避難した児童は、防災無線が大津波警報を知らせる中、教員の指示により約2㎞離れた大平山へ避難し、国道6号まで下山したところで偶然にも運送業者のトラックが全員を荷台にのせて浪江町役場まで送り届けてくれたことで、誰ひとり欠けることなく無事に避難をすることができました。この出来事は、被害の大きかった請戸地区で起こった奇跡の物語であり、それは教員の判断力と児童の協力、地域の方々の支えがあったからこそ全員避難することができたのです。

■津波被害が見て分かる展示や見学ルート

 当時の被害状況をなるべくそのままとどめながら整備された校舎内は、1階・2階ともに立ち入り見学が可能です。1階部分は廊下や外から津波被害の様子を見ることができる見学ルートが作られ、そこには児童生徒たちの避難経緯を絵本にした「請戸小学校物語 大平山をこえて」のパネルが順を追って展示されています。2階は映像や資料で震災を伝える展示コーナーとなっています。体育館や展望台は外部からの見学が可能です。

 地震や台風による水害など災害が多い日本ですが、請戸小学校を襲った脅威や教訓から「生きる力」を学ぶことで、いつ起こるかわからない災害に対する備えについて改めて考えてみてはいかがでしょうか。

 ●震災遺構 浪江町立請戸小学校
 問合せ先:0240-34-0253(浪江町 教育委員会事務局 郷土文化係)
 住  所:福島県双葉郡浪江町請戸持平56
 開館時間:9:30~16:30(最終入館16:00)
 定 休 日:火曜日(火曜日が祝日の場合は開館し、翌水曜日が休館となります。)
 料  金:大人300円、高校生200円、小中学生100円
      (20名以上の団体は各50円引き)
 公式サイト:https://www.town.namie.fukushima.jp/soshiki/12/29194.html

 ●請戸小学校周辺のフィールドワークで避難経路を実際に見学するプログラム
 https://www.tif.ne.jp/kyoiku/program/disp.html?id=568

他のニュース&トピックス

対象件数 602件