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2025.11.06(木) 08:30 取材記事(教育旅行)神奈川県の藤嶺学園藤沢高等学校が福島県で初めて研修旅行を実施しました

震災当時の資料を読み込む生徒たち(伝承館)

請戸小学校の見学

FPの説明を聞く生徒たち(大平山霊園)

鶴ヶ城を背に集合写真を撮影

[日程] 令和7年10月7日〜11日(福島県内1泊)
[学校名・学年・人数] 藤嶺学園藤沢高等学校 2年生 52名

[取材内容]
 藤嶺学園藤沢高等学校の生徒たちは、研修旅行で岩手県、宮城県、そして福島県を訪れ、震災の記憶と復興の歩みについて学びを深めました。本県ではホープツーリズムを実施し、東日本大震災・原子力災害伝承館の見学と浪江町・双葉町でのフィールドワークを行いました。
 最初に訪れた伝承館では、プロローグシアターで震災と原発事故についての映像を視聴し、生徒たちは真剣な表情で見つめていました。上映後は2階の展示ブースに移動し、スタッフによる館内の概要説明を受け、震災や原発事故の経緯、避難の様子などについて理解を深めました。その後の自由見学では、展示資料や映像をひとつひとつ丁寧に見ながら、原発事故がどのように発生したのか、人々がどのように避難したのかを学び取る姿が見られました。
 続いて、フィールドパートナー(FP)がバスに同乗し、浪江町・双葉町でのフィールドワークを実施しました。最初に訪れた震災遺構浪江町立請戸小学校では、津波で1階部分が浸水した校舎を見学し、生徒たちは当時の被害の大きさを目の当たりにしました。曲がった手すりや破損した体育館の床などを見ながら、津波の威力や自然災害の恐ろしさについて、生徒同士で言葉を交わす姿もありました。その後、大平山霊園を訪れ、フィールドパートナーから請戸小学校の児童たちが、津波から避難して助かった経緯や、原発事故による避難指示のため津波被害の捜索活動が一時中断されたことについて話を聞きました。生徒たちは静かに耳を傾け、震災の現実と教訓を真摯に受け止めている様子でした。最後に慰霊碑の前で全員が黙祷し、犠牲者への祈りを捧げました。大平山霊園の後は、バス車内から復興が進むJR双葉駅周辺を見学し、新しい建物が建ち、復興が進む一方で、震災当時のまま残された建物が混在している様子についてフィールドパートナーから説明を受けました。その日はスパリゾートハワイアンズに宿泊し、福島での初日を終えました。
 2日目は会津若松市へ移動し、鶴ヶ城前で集合写真を撮影した後、班別行動を実施。鶴ヶ城天守閣の展示を見学したほか、展望層から市街を一望したり、会津若松の街並みを散策する班など、それぞれが思い思いに歴史と文化を体感しました。

[生徒のコメント①]
「東日本大震災・原子力災害伝承館では、救助にあたった人たちの実際のメモや、放射線の除去の様子が分かる展示を見て、本当に悲惨なことが起きたのだと改めて感じました。請戸小学校では、津波で壊れた校舎を見て、全員が助かったのは奇跡だと思いました。震災当時、私はまだ小さく記憶がなかったけれど、実際に現地を訪れて建物や映像を見ることで、震災で起きたことの重大さを知りました。震災が起きた直後から、被災した人たちが不安や恐怖の中でも前を向いて、安心して暮らせる町づくりを進めようとする姿に心を打たれました。そして今でも復興は続いており、たくさんの人が支え合って生きているということを家族や友人に伝えたいと思いました。」
(2年生徒)

[生徒のコメント②]
「福島を訪れて強く感じたのは、地震・津波・原子力災害という複合災害の現実の重さでした。これまでニュースで知っていたつもりでも、現地の空気や人の言葉に触れると、想像以上に深い影響が今も続いていることを実感しました。フィールドワークでは、津波からの避難や原発事故による避難区域など、地域によって異なる復興の課題を知り、防災について自分の暮らす地域に置き換えて考えるきっかけにもなりました。ホープツーリズムを通して、福島は悲しみの場所ではなく、復興に向けて希望が紡がれている場所だと感じました。復興へ向かう人々の努力や温かさを、自分の言葉で家族や友人に伝えていきたいです。」
(2年生徒)

[先生のコメント]
「家族旅行や友人との旅では、訪問することが少ない地方で、その土地でしか感じられない経験値を上げることを主眼に、本年度は“東日本大震災”に焦点をあてました。その中で、福島県浪江町でのホープツーリズムを目的に福島県での研修旅行を企画しました。震災や原発事故を経験した地を自分の目で見ることは、生徒たちがニュースや教科書を超えて現実と向き合うきっかけになったと思います。また、会津では白虎隊の歴史にふれ、時代を越えて受け継がれる志のあり方を考えてほしいという願いを込めました。今回の学びが、彼らの中に芽生えた関心の種として、将来再び東北を訪れ、自らの成長と重ねて育っていくことを期待しています。」
(2年教員)

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