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2025.12.05(金) 09:00 取材記事(教育旅行)NEW山形県の天童市立長岡小学校が福島県で修学旅行を実施しました

伝承館の展示を真剣に見つめる児童たち

請戸小学校の見学

富岡町3.11を語る会 宗像さんの講話

バナナの栽培について説明を聞く

[日程] 令和7年10月23日〜24日(福島県内1泊)
[学校名・学年・人数] 天童市立長岡小学校 6年生 62名

[取材内容]
 天童市立長岡小学校の児童が、修学旅行で福島県を訪れ、東日本大震災や原子力災害の教訓と復興の歩みについて学ぶホープツーリズムと会津の歴史学習を実施しました。
 はじめに東日本大震災・原子力災害伝承館を訪れ、伝承館を背に集合写真を撮影した後、プロローグシアターで震災と原発事故の映像を視聴しました。児童たちは真剣な表情でスクリーンを見つめ、メモを取りながら当時の状況に理解を深めていました。
 続いて2階展示室へ移動し、スタッフの方から震災直後の様子や原発事故がどのように起きたのか説明を受けました。その後は班ごとに自由見学となり、児童たちは限られた時間の中でも気になったことをノートに書き留め、学びを整理していました。
 伝承館見学の後は、フィールドワークを実施しました。最初に訪れた震災遺構浪江町立請戸小学校では、津波にのまれた校舎が当時のまま残されている光景を前に、児童たちは驚きの表情を見せていました。自分たちが通う学校と重ね合わせるように校舎内を見学し、津波の威力や恐ろしさを強く感じていた様子でした。
 次に向かった大平山霊園では、フィールドパートナーから請戸小の児童がどのように避難し、なぜ全員が助かったのか、そして津波や原発事故が地域に与えた影響について、当時のエピソードを交えて説明を受けました。児童たちは熱心に耳を傾け、メモを取りながら学びを深め、友だち同士で、自分たちの地域で同じことが起きたらどうするかについて話し合う様子も見られました。
 フィールドワーク後、双葉町産業交流センターで行われた震災講話では、NPO法人富岡町3.11を語る会の宗像涼さんが「東日本大震災から学ぶこと」をテーマに講話を行いました。地震発生時の体験談や避難の判断、情報の大切さについて分かりやすく紹介し、途中にはクイズも交えながら進行。児童たちは伝承館やフィールドワークでメモを取ったノートを確認しながら積極的に回答していました。講話の最後には「災害を他人事と思わず、正しい情報を知り、備えることが大切」というメッセージが伝えられ、児童からは「震災当時の大変さを知ることができた」「自分にもできることを考えたい」といった感想が寄せられました。
 最後に訪れた広野町のトロピカルフルーツミュージアムでは、株式会社広野町振興公社の幸森千尋さんの案内でバナナを栽培するハウスを見学しました。児童たちは初めて見るバナナの幹や大きな葉に驚き、興味深く観察していました。続いて同社代表の中津弘文さんから、寒い東北でバナナを育てる工夫や、広野町で実施している地中熱を活用した環境にやさしい栽培方法について説明を受けました。また、バナナの皮を使った和紙が卒業証書に使用されていることも紹介され、地域に根ざした産業の広がりに関心を寄せていました。

[児童のコメント①]
「福島での修学旅行では、自然災害の恐ろしさを自分の目で見て感じることができました。伝承館では、止まったままの時計や壊れたポストなど、震災のときに使われていたものが残されていて、あの日に何が起きたのかを強く感じました。請戸小学校の体育館では、床に大きな穴が開いていて、ここで子どもたちが普段通りに過ごしていたと思うと日常が一瞬で失われてしまう恐ろしさ、命の大切さを感じました。講話で聞いた21メートルの津波が来たことや、放射能の影響、避難生活の大変さを知り、災害を自分には関係ないことと思ってはいけないと気づきました。トロピカルフルーツミュージアムでは、地中熱を使ったバナナ栽培を知り、復興に向けて工夫している人たちの姿が印象に残りました。」
(6年 佐藤 実莉さん)

[児童のコメント②]
「伝承館を見学したとき、家が壊れずに残っていても元の生活に戻れない人がいることを知り、震災・原発の影響は建物だけではないと気づきました。フィールドワークで訪れた請戸小学校では、津波が2階まで来たと聞いてとても驚き、自分の学校だったらと想像すると怖くなりました。フィールドパートナーさんの説明が分かりやすく、当時の様子がよく伝わってきました。宗像さんの講話では、いつ地震が来てもおかしくないという言葉が心に残り、自分の命を守る行動について考えるようになりました。トロピカルフルーツミュージアムでは、東北でもバナナが育つことに驚きました。今回学んだことは、家族や友だちにもきちんと伝えたいと思います。」
(6年 松田 芹奈さん)

[先生のコメント]
「今回の修学旅行でホープツーリズムを組み入れたのは、学年で取り組んできた“震災・防災”の総合学習を、実際の現場での体験につなげたいと考えたからです。東日本大震災・原子力災害伝承館や請戸小学校の見学では、子どもたちが映像や資料、被災した校舎を食い入るように見つめている姿が印象的でした。生まれる前の出来事であっても、フィールドパートナーや宗像さんが、小学生にも分かる言葉で当時の状況や復興への道のりを語ってくださったことで、震災を遠い出来事ではなく、自分の生活とつながる学びとして受け止めることができたと感じています。今回の経験を通して、被災した人や地域に思いを寄せる心を育むとともに、いざというときに自分の命を守るために、自分で考え行動できる子どもたちに成長してほしいと願っています。」
(6年主任 鈴木 千夏先生)


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