INTERVIEW インタビュー

浜通り

ヤマブン味噌醬油醸造元 代表取締役 鈴木 勇雄さん

原料と製法への徹底したこだわり。
変わらないことを軸に作り続けたい。

大きな木の樽が並んで壮観ですね。

 四季の温度に合わせて、時間をかけて3年から5年間ここで熟成させます。強制的な温度管理はせず、昔ながらの自然な製法にこだわることで味のバランスがとれるんです。添加物は一切使いません。原料の大豆・小麦・塩も、良いものを探していろいろなものを吟味して、選び抜いたものを使っています。

創業はいつ頃ですか。

 明治初期にこの地で創業して、創業約150年になります。初代は鈴木文治衛門といいまして、3年仕込み醤油「文治右衛門醤油」の由来にもなっています。私で5代目になります。

3年から5年という長期熟成醤油が高い評価を得ていますね。

 私がまだ若い時に代を継いだのですが、うちの商品はこれだ、というものが当時ありませんでした。「売ってほしいと求められるものを作れ」という父の言葉にずっと向き合い続け、原料や配合、製法について10年ほど試行錯誤を続けました。様々な人との出会いもあった中で、今までにないものを作ろうと決意し、選び抜いた原料と昔ながらの製法への徹底的なこだわりから生まれたのが、5年間熟成させた醤油、古式天然醸造五年仕込「幻のむらさき」です。

発酵の魅力はどんなところでしょうか。

 生きているものですから、手をかければかけるだけ応えてくれて、味も良くなるところです。その季節の気温をみながら「櫂突き」をして酸素を入れるのですが、発酵がうまく進んでいくと音が変わってくるんです。
 身体は食べたもので出来ていますし、発酵食品は免疫力を高めるとも言われていますから、そういう生きたもの、質のよい発酵食品をうまく身体に取り入れてほしいですね。

今後の展望は。

 東日本大震災が起きた時は、良いものが作れなくなったら廃業しようとも考えましたが、幸いにも以前と変わらないこだわりで作り続けられています。原料や製法を変えないこと、変わらないことが大事だと思いますので、それを軸にしてこれからもやっていきたいですね。