INTERVIEW インタビュー

中通り

糀和田屋 代表取締役 三瓶 正人さん

糀は混ぜることで生まれる相乗効果が魅力。
まだまだ多くの可能性がありますね。

現在で何代目でいらっしゃいますか。

 私でちょうど10代目で、ここ本宮市で250年ほど商いをしています。以前はたくさん糀屋があったのですが、今は少なくなりました。屋号の通り糀そのものの販売が一番多く、先代が常温で1年保続できる乾燥糀を作ってからは、それが主力商品になっています。
 今は、塩こうじや甘酒など発酵食品が注目されているので、生の糀を使った商品も増えています。

受け継がれてきた技やこだわりは。

 糀づくりは機械でもできますが、できるだけ手作りで、昔ながらの「糀蓋製法」にこだわっています。糀は一度糀室に入れたら作業が3日間続きますので、なかなか休めなくなってしまうのですが、手作りの方が酵素の働きが強く、いい糀ができるんです。原料のお米も、地元産にこだわっています。

糀を使った商品をたくさん開発されていますね。

 糀そのものももちろんいいのですが、他のものと一緒にした時にそれに対して分解していい物質を作り出してくれるので、混ぜると糀の良さが出ます。健康に気を遣う方が増えて、免疫力の面などで米糀の良さが注目されているので、既存の塩こうじや甘酒だけでなく、違う取り入れ方が提案できないかと思って考えたのが「糀ヨーグルトシュガー」です。プレーンヨーグルトに混ぜて召し上がっていただくものとして作ったのですが、お湯に溶かして甘酒のようにして飲まれる方もいらっしゃいます。
 フルーツの味を加えた甘酒は、お米の粒を濾して飲みやすくしました。あと私自身ナッツが好きなので「糀アーモンド」「味噌アーモンド」も開発しました。どの商品も、どなたでも抵抗なく食べられると思います。

ふくしまの発酵文化についてお聞かせください。

 昔は味噌だけでなく醤油も各家庭で仕込んでいるところが多かったです。我々が糀を持っていって農家さんのお米や大豆で仕込むのですが、木桶が3本あって1年、2年、3年味噌と並んでいましたし、醤油も同じように、仕込んでから後でまた絞りに行ったりしていました。仕込んで回るというのは全国的にも珍しいと思うのですが、ふくしまはそういう発酵文化が根付いていますね。今でも味噌をご自宅で仕込んでいる方は多いです。
 ふくしまは糀屋や味噌醤油屋が地域と密着していて、日本でも一番多く残っている県ではないかと思います。浜通り・中通り・会津と食文化も違い、それぞれの地域に根差した発酵食や発酵文化があるので「醸造王国」と言われるのでしょうね。