INTERVIEW インタビュー

会津

目黒麹店 代表 目黒 正博さん

味の良さ、素材の良さを追求
受け継がれる昔ながらのものづくり

取り組んでいらっしゃる「味噌作り体験」について教えてください。

 もともと麹屋の仕事は、各家庭持ち込みの原料で麹と味噌を仕込んであげること(委託加工)でした。今は時代が変わって味噌は買って食べるのが当たり前です。ただそういった味噌は9割がた昔ながらの味ではありません。味噌作り体験を始めたのは、そんな人たちに本物の味噌を伝えたいと思ったのがきっかけです。7月から9月下旬を除けば、5人以上でいつでも体験していただけます。つぶした大豆と塩を混ぜたものを麹と合わせて樽に入れ、自宅で食べごろになるまで熟成させてもらえればOKです。関東方面へ出張して行ったりもしていますよ。

材料はどのようなものを使っていますか?

 麹の原料となるお米は全て地元・会津坂下産です。また、収穫して1年以上経った古米は使いません。本当は大豆も全て地元産にできたらいいのですがなかなか難しいので、各地から等級の高い大豆を仕入れて使っています。やはりおいしいものを作るためには原料の鮮度、味が大事。大手メーカーさんのように大量生産流通はできませんが、味の良さ、素材の良さを伝えていくのがうちの役割かなと思っています。

とてもこだわった商品作りですね。

 いやいや、こだわりというよりも、あくまで受け継いできたことをそのままやっているだけなんです。ただ、こういう昔ながらのものづくりが今は少なくなってきていますよね。だからこそうちはではそのスタイルを貫きたいと思っています。

会津坂下町は味噌屋や酒蔵も多く醸造文化が盛んな町ですね。

 そうですね。今は味噌屋が3軒、酒蔵が3軒ですが、昔はもっと多かったんですよ。なぜうちがこれまで続けてこられたかと言ったら、原点は地域の人が利用してくれたから。それにどう貢献していくか考えると、地元のいいものを使うことなんですよね。そうすると、立ち寄ってくれたり、味噌を気に入ってくれた人に「この味噌に使っているお米買ってみてよ」「お酒買ってみてよ」と伝えることができますから。自分が地域の宣伝マンになって町のいいところを伝えられる、そんなものづくりをこれからもしていきたいです。