INTERVIEW インタビュー

中通り

ふくしま農家の夢ワイン 代表 斎藤 誠治さん ふくしま農家の夢ワイン 醸造担当 山崎 清史さん

ブドウも人も、地元産
ゼロから叶えたワイン作りの夢

こちらではどのようなワインを作っているのですか?

山崎:ヤマ・ソーヴィニヨンという1990年に山梨県で開発されたぶどうを使ったワインを作っています。ヤマ・ソーヴィニヨンとはヤマブドウとカベルネ・ソーヴィニヨンをかけあわせた品種で日本の風土でも栽培しやすいとされているぶどうです。味わいはほかのブドウよりやや酸味があり、ワインにすると土の匂いというかいい意味で素朴な味わいが感じられます。育った環境や場所によって味が変わるので、飲み比べてみるとおもしろいですね。二本松市内の羽山地区で取れたリンゴを使ったシードルも作っています。

ワイナリー立ち上げのきっかけを教えてください。

斎藤:農家離れが進む中、お嫁さん候補になる若者が地域に来てくれる方法はないかというのを仲間うちで話していた時があったんです。はじめはどぶろくを作ってみようかという意見もあったのですが、どぶろくでは若い女性は振り向いてくれないだろうということで、ワインを作ってみようと。当時の市長も全面協力してくれて、東北で2番目の「ワイン特区」の認定を受けたのが2010年です。

大変だったことはどんなことですか?

斎藤:誰もやったことのないことをゼロから始めたので、試行錯誤の連続でした。ワイナリーのある建物も、元は養蚕の施設でした。自分たちで屋根を直したりペンキを塗ったりして手作りしたんです。材料も人材もすべてが地物の、世界一貧乏なワイナリーです(笑)。

山崎さんはもともと日本酒を作っていたそうですね。ワイン作りはいかがですか?

山崎:同じ醸造酒とはいえ、やってみるとまったく別物ですね。日本酒と違うのは、ぶどうの出来栄えが品質に大きく関わってしまうこと。いいぶどうならそのままいいワインができますし、逆にあまりよくないぶどうだとマイナスにならないような努力が必要になります。

今後の展望を教えてください。

斎藤:これぞという名物もなかった町で、こうやって10年やってこられたのも、地域の人のおかげです。昔のようにイベントを開催したりして、賑わいを作っていけたらと思います。
山崎:10年経って少しはワインのことがわかるようになり、年々品質も上がっています。ぜひこれからも楽しみにしていてください!