INTERVIEW インタビュー

特別インタビュー

お宿 花かんざし 女将 二瓶 明子さん

郷土料理や伝統食に注目すると
多彩な発酵食品にたどり着く

まずは二瓶さんが思う発酵食品のイメージを教えてください。

発酵食品と意識したことはあまりなくて。福島の郷土料理や伝統食に目を向けると、必然的に発酵食品にたどり着く気がします。気がついたら身近にたくさんの発酵食品、ご馳走があるものだなという印象です。

発酵食品は特別なものではなく暮らしに根づいているんですね。お宿で提供されている発酵食品は何がありますか?

当たり前のものとして味噌があります。すべて私たちスタッフの手づくりで、米は二本松のもの、大豆もできるだけ地元のもので仕込む米麹味噌です。手づくりを始めたきっかけは「和食」がユネスコ無形文化遺産に登録されたことです。「これからインバウンドに向けて」というときに、私たち自身、味噌が何からできているかよく知りませんでした。それに、お客さまから「ここは何味噌を使われていますか?」と聞かれることが多くて。そんなとき、きちんと答えられるように勉強したい、それなら同じ二本松市に「国田屋醸造」さんという良いお味噌屋さんがあるんだから、教わりながらつくってみようと。自分でつくるからか、おいしくできるんですよ。ちょっとした一服用に、お湯で味噌を溶かしただけでも十分においしいんです。

手づくりされると愛着もわきますよね。ほかにもありますか?

「国田屋醸造」さんの「一升漬け」ですね。紫蘇の実と醤油、麹をそれぞれ一升ずつ漬けた発酵食品です。そのままでご飯のお供としてはもちろん、お漬物と和えて朝食にご用意しています。そのほかに南会津に伝わる「じゅうねんみそ」と呼ばれる荏胡麻の実を使った味噌を郷土料理の凍み餅と合わせたり、酵母を加えた飼料を食べて育つ「安達太良酵母牛」をご用意することもあります。

このような発酵食品を使った料理について、お客さまの反応はいかがですか?

お味噌汁や酒粕で漬けた漬物などシンプルな朝食なんですが、「こういう朝ご飯いいですよね」「お味噌汁の香りで体が目が覚めました」と声をかけていただくこともあって、和食や発酵食品の魅力を感じています。海外からのお客さまの中にはビーガンの方も多いので、昆布で出汁を取って野菜たっぷりのお味噌汁をお出しすると喜ばれます。そうしたご要望にもお応えできる味噌って万能調味料だと思いますね。自家製味噌も一升漬けも気に入ってくださるお客さまが多く、宿の売店やオンラインショップでも扱っています。